2015年4月24日金曜日

10にゃん

昼時ということで一旦馬車を停めて薪集め。ついでに大自然に帰っておトイレも済ましたい。

した後の処理はどうするんだろう?
拭いたりしないんだろうか?
特に大の方。

こそっとマリーシャさんに聞くと、浄化のアミュレットを使うのよ、と渡された。
見ると、下手糞な字で『わたしねがいますきれいになるのこと』と平仮名でかかれてあった。

これに魔力を通して使うらしく、用便後は勿論洗濯や風呂代わりにも使えるとのこと。
へえー、と感心していると、サミュエルさんがそれは神聖言語のカムナ文字で書かれているんですよ、と教えてくれた。

「神聖言語は複雑怪奇なのです。光の神イーラが初めて作った人が神聖言語を話していたそうですよ。神話や伝説の時代はまだ日常の言葉として使われていましたが、今ではその大部分が失われていると聞いています。」

「にゃ、そんなに難しいのかにゃ?」

「ええ。そもそも文法からして違いますから。今の言葉は、私―です―名前、という並び方をしていますが、神聖言語は私―名前―ですという並び方なんですよね。
残されている神聖言語も、意味を1文字で表す神紋文字と数文字を組み合わせて意味を作るカムナ文字とに分かれていますし、カムナ文字は同じ音でも二種類表記方法があるんですよ。」

こちらが神紋文字で、こちらがカムナ文字ですね。とサミュエルさんは何かを取り出して見せてきた。
そこには漢字で「旅守」「たびのまもり」と書かれていた。

「これは二つとも同じ効果のあるアミュレットです。文字が違いますが、両方とも旅の安全を齎す効果があります。
文字の自由度で言えばカムナ文字が有利です。しかし、その効果の安定性は神紋文字の方が上ですね。」

成る程。
神紋文字…漢字は表意文字だからピンポイントの意味を持たせられる。
でも、カムナ文字…ひらがなは、箸と橋の違いみたいなのが出てくるってことか。

「サミュエルしゃん。そのアミュレットというのは字を書くだけで作れるのかにゃ?」

「ええ。ちゃんと意味を正確に理解して書けば力が働きますから可能ですよ。魔術師でなくともアミュレットは作れますが、文字の意味も知らずただ刻むだけでは発動しないのでそういう職人は重宝されます。」

そういう職人さんが居るらしい。
もし世間に一人放り出されるようなことがあったらアミュレット制作を生業にするのも悪くないなと思った。

トイレをして渡されたアミュレットにお風呂に入った後のように綺麗になるように念を込める。
つむじ風が私を中心として起こったかと思うと、体全体から石鹸で洗って太陽に干したような良い匂いがしてきた。

うおお、アミュレットって凄い!

小躍りしたくなるような感動を抱えながら意気揚々と皆のところへ戻ると、一様に驚かれた。

「凄いですね……相当イメージがしっかりしてないと、ここまで綺麗には出来ませんよ。ニャンコは魔法の才能があるのかもしれません。」

「にゃっ、褒められたにゃっ♪」

褒められて小躍りしていると、サミュエルさんがわしわしと頭を撫でてくれた。
これは道中アミュレット制作の練習を試さねばなるまい。
大きな木の葉に枝か先の尖った石で刻めば即席アミュレットになるだろうか。
後で拾いに行ってやってみよう。


***


そして昼食。

今日も今日とてライオットにパンをねだら…いや強奪されて蜜芋三昧。
そんなに蜜芋嫌いか、ライオットよ。
私も今は嫌いではないが、これが続くと嫌いになりそうだ。

しかし冒険者達に養われている身、主食が蜜芋三昧でも文句は言うまい。
言うまいが…芋を常食とさせられてる猫ってなんなんだろう?
おならぷーぷー猫?
想像するとなかなかにシュールでどことなく笑いを誘う。

もちゃもちゃと沈黙したまま蜜芋を食べていると、スィルが見かねてパンを半分蜜芋と交換してくれた。
エルフマジ天使。

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