2015年4月24日金曜日

13にゃん

「やれやれ、明日にでもここを発つしかなさそうね。」

スィルの溜息混じりの言葉を聞きながら、とりとめも無い事を考えていた。
孤児だけ誘拐されたのなら放っておかれたであろう、事件。
仕方が無いのだろうが、どこか釈然としない。

「マリーシャしゃん。エルマ坊ちゃんはああやって探してもらえてるにゃ。コジの子は、探してもらえないのかにゃ?」

私の言葉に、冒険者達が息を飲む。
世話になっている身で、厄介事に巻き込むような、こんな事を言うのは間違ってる。
でも、口が止まらなかった。

「コジってオヤがいない子供なのにゃ?だったら、ニャンコもコジの子なのにゃ。」

「ニャンコは難しい事を聞くのですね……」

マリーシャは悲しそうに私を撫でた。


***


もう今日は寝なさい、と言われてベッドに一人潜り込む。
彼らは酒場で話し込んでいるようだ。
シーツに顔を押し付けて突っ伏した状態で、私は足をじたばたさせる。

あああ、馬鹿だ馬鹿だ自分。
あんな事言ったって、弱肉強食な異世界では通用しないのに。
大反省。

一頻り反省し、ベッドに腰掛けて、ふと私は考えた。
こっそりと何か出来ないだろうか?
犯人を突き止めて、正攻法で役人とかに捕まえてもらえるような、事。
この世界は日本語が力を持ち、呪文となる。
出来るかどうか分からない。けれども、試す価値はある。
私は少し考えて、文面を脳裏で組み立てる。
いつか小説で読んだ。
こういう時は、どういう効果を得たいのか、細かくハッキリ指定しないとダメなんだ。

「『十日以内に、リュネから攫われた子供達の居場所を、私の目に、映して欲しい』…にゃ。」

刹那。

周囲の風景に重なるようにして、『そこ』は映し出された。

どこかの洞窟のようだった。
子供達がじっと、一つに固まってべそをかいている。
周囲には野卑な男達が焚き火を囲み、子供達に何事かを喚き散らしたり、酒を飲んだりしているのが見える。
ただ、男達の中に一人だけ。
黒を基調とした、禍々しい服装の、神経質で厳格そうなスキンヘッドの男が居るのが気にかかった。

「『今私の目に映し出されているこの場所へ、この宿屋から行く道筋を、私の目に映して欲しい』…にゃ。」

ふっと場面が切り替わり、宿の入り口から洞窟まで飛ぶように景色が流れた。
リュネを出て、崖の方角へ向かっている。
景色は崖の上へと飛び、山道を映し出し、獣道を這い、やがて洞窟へとやってきた。
ここって……

「サミュエルしゃんが言ってた、魔物の出る崖の道の上…に当たるのかにゃ?」

どうもそれっぽい。

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