2015年4月24日金曜日

1にゃん

我輩は猫である。

それも、猫には違いないが動物的な猫じゃなくて、幼児ぐらいの大きさの、二足歩行可能で言葉も操れる某狩ゲームのアシスタント的な感じの猫である。
泉に映ったその姿は、ふわふわの白い毛、くりくりの青い瞳のもうもう自分でも思うが非常にかんわいらしいにゃんこである。
そんなにゃんこの私だが、以前は日本で女子大生やってた。


***


交通事故に遭って目の前真っ暗になっておっ死んだと思ったら、次の瞬間には神様と名乗る光の玉が浮かぶ暗黒空間にふわふわ浮いていた。
「間違って殺しちゃったけど輪廻の輪にまだ入れられないからその分を異世界転生で帳尻合わせるよ、殺しちゃったお詫びにチートをあげるけど制約があって、

外見ランダムでチート能力
外見チートで能力ランダム

のどちらかになるんだけど、どちらが良い?」って言われて。

楽をしたい怠惰な性格の私は前者を選ぶしかなかった。
異世界ってどんな過酷な世界かも分からないのに、能力ランダムとかハードモード過ぎると思ったからだ。
外見だけで生き抜ける生易しい世界であるとは限らない。
したらこのざまだよ。
気がつくとこの姿で鬱蒼とした森に開けた泉の傍に立っていたのだ。

手を振ると泉の中のにゃんこも手を振る。超絶にかわいい。
両手を顔に当てると泉の中の(略)…

しかし猫は猫である。
猫は猫でしかない。

一言でいうと人間とばかり思ってたからこれは予想外であった。
しかもだ。

「何なのにゃ、普通に喋ってるちゅもりでもにゃんこ語になっちゃうにゃー。」

『何なの、普通に喋ってるつもりでもにゃんこ語になっちゃう』――そう言ったつもりでもこの呪われた口は吐いた言葉を勝手に幼児語に変換し、語尾ににゃーを付けてしまうのだ!
なんと恐ろしい…私は神の術中に嵌ったのだ!
クソッと思ってにゃんこの肉球を思わず木に思いっきり打ち付ける。
すると、肉球は木にめり込み、そこから入った亀裂がメキメキと広がって轟音を立てて木は倒れた。

「に゛ゃーっ!!!!?」

あああああああああ。

チートでしたね、そう言えば。
チートはチートなんだけど…普通の生活は可能だろうか?
あの時、後者にしとけば良かったかも…と青褪め、ぷるぷると震えて私は慄く。
この世界がどういう世界で、私のような姿の生き物はどういう位置付けになるのか。
まずはそこを確かめねばなるまい。

となると、まずは能力を確かめること、当面生きていくだけの食い物と寝床を確保すること、この世界の常識・知的生命体を確かめることが必要か。
出来れば人間が居て欲しいと思う。

特に自分と同じような種族が存在するかどうかはネックである。
それ次第で自分の生き方も変わってくるからだ。
同じにゃんこ種族が存在するならそれに紛れて生きることが出来るけれど、もし珍しい生き物だったら…捕まってあれやこれやエゲツナイ実験されたりとか…ブルブル。

また輪廻の輪に入れるまで、この世界で私は頑張って生き抜かなければならない。

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