2015年4月24日金曜日

27にゃん

「おのれ…ティリオン。逃げおって…」

ロドリゲスが忌々しそうに毒づいた。

「ええい、構わぬ!闇の神の裁きを受けよっ!!」

攻撃性を持った闇の力がうねりとなって差し迫ってくる。
私はライオットの前に躍り出て、その軌道上にジャンプした。

「――ニャンコ!!?」

闇の玉は私にぶつか――ったかと思うと、首元に吸い込まれるようにして消えていく。
着地すると、チリリ、と鈴が鳴った。攻撃は吸収、無効化されたのだ。

「なっ…我が攻撃が効かぬ…じゃと……!?」

「アンシェラしゃんが闇のシュクフクをくれたから大丈夫にゃっ!」

神官が動揺する。背後のライオット達を安心させるために叫んで、私は肩を怒らせてじっとロドリゲスを見詰めた。

「ニャンコが、闇の神の祝福を…」

「闇の祝福じゃと!?初代闇の教皇が授かったという我が神の寵愛を、お前のような者が…。しかし、それが本当なら。猫獣人、わしと共に来るのじゃ!貧しく汚らしい冒険者共といるよりは、高級な魚や菓子にマタタビ――そうじゃ、見目のよいオスの猫獣人も探してきてやるぞ!何でも贅沢は思いのままじゃ!」

ライオット達が貧しく汚らしいだと?なんて事を言うんだこのハゲは。
私はゴミを見るような目で相手を見た。

「オコトワリにゃ。アンシェラしゃんにも嫌われてるようなジドウユウカイハンのところに何で行かなきゃイケナイのにゃ?」

おしりぺんぺんをしてあっかんべーをすると、ロドリゲスは顔を真っ赤に染め上げた。

「なんじゃと?甘い顔をすれば付け上がりおって!――お前達、この猫獣人を捕らえよ!捕らえた者には褒美として金貨100枚出そう!」

金貨100枚、に功に逸ってこちらに駆け寄ろうとした一人の山賊の頭を、一本の矢が際どい所で掠めていく。
他に駆け出しそうだった山賊も思わず足を止める。
スィルがキリキリと弓を番えていた。

「――残念だけどそうはさせないわ。いいことを教えてあげる。街から自警団がこちらに向かってるの。マリーシャも一緒にね。」

「だとさ。さっさと逃げた方が良いんじゃないか、ハゲの神官さん?」

ライオットがいい笑顔を浮かべながら剣を弄びながらじりじりと迫り、ロドリゲスは不利を悟ったのか後ずさりする。

「風の精霊よ!刃となりて敵を弱めて!」

"ほいきたー!"

悲鳴が聞こえた。
風の精霊がカマイタチを作り出して山賊達を攻撃しているようだ。

「精霊使い…ティリオンさえ裏切らねば…」

「アンシェラしゃんに教えてもらったコラシメのおまじない、誰からしてもらいたいのかにゃあ?」


―― 食 中 毒 !


皆の気持ちは一致したのだろう。

「ええい、ここは一旦引くのじゃ!」

ロドリゲスは闇弾を牽制に放ち、慌てて踵を返して駆け出した。
一拍遅れて山賊達もそれに続く。

「逃がさん、待て!」

駆け出すライオット。スィルは樹に飛び移って飛ぶように行ってしまった。
私も、と続こうとすると、ふわりと体が宙に浮く。

「にゃっサミュエルしゃん!?わたちも戦えるにゃ!」

「ニャンコは危ないからダメです!ライオット――私はニャンコを連れて自警団と合流します!」

「分かった、後でな!」

じたばたする私を逃がさないよう強く抱っこして、サミュエルは彼らとは反対方向へ走り出した。

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