2015年4月25日土曜日

51にゃん

昼ごはんも終わりかけ、恒例のお代わりちょーらいタイムである。
ハンバーグという人気おかずのためか、最初に見た時よりだいぶちょーらいコールがヒートアップしていた。

エアルベスさんが名前を呼んでいく。
私、ハチクロ、タレミミは呼ばれたが、ミミは呼ばれていなかった。
彼女はハンバーグ大好きらしく、少ししょんぼりしている。

私はお腹がいっぱいだったので、ハンバーグを受け取るとミミの下へ行った。
少しでも仲良くなれればと思ったからである。

「ミミ、わたちはお腹がいっぱいだからあげるにゃ。」

「ほ、ほどこちなんて受けにゃいにゃ!わたくちをバカにしにゃいでほちいにゃっ!」

ミミは敵愾心むき出しでシャーッと声を荒げているものの、視線はハンバーグに釘付けになっている。

「ハンバーグ、ほしくないのかにゃー?」

「にゃ…ハンバーグ……」

欲しい。けど、でも……そんな心の声が聞こえてきそうだ。超可愛い。
ミミの瞳が葛藤しているのが分かる。

後少しで陥落するかな?と少し期待していた、その時。
空気を読まないタレミミがやってきた!

「ミミ、おれのハンバーグをあげるにゃ。ニャンコしゃん、そのハンバーグおれにちょーらいにゃっ!」

タレミミはあっという間に自分のお代わりをミミの皿に移した。
私もハンバーグをフォークでぶっ刺してタレミミの更に移してやる。

「ありがとうにゃ、ニャンコしゃん!ミミもお代わりもらえてよかったにゃっ!」

ミミは怒りのためなのかプルプル震えていたが、やがてはっと気が付いたようになった。

「しょ、しょれ…ニャンコのホークで刺したにゃ!タレミミしゃまとニャンコのカンシェチュキッチュににゃっちゃうにゃ!」

ええー、間接キス(カンシェチュキッチュ)って言われても…。
それはタレミミも思ったようで。

「にゃー?それを言うならミミもおれとのカンセツキッスにゃ?だからどうしたのにゃ、美味いものにツミはないしコマカイことは気にしないにゃー?」

しかしミミは違ったらしい。

「ミミはいいのにゃ、モンダイにゃいにゃ!でも、タレミミしゃまは……ダメにゃにょはダメにゃっ!」

言うなりミミはタレミミのハンバーグをぺしっと叩き落とす。
ハンバーグは地に落ちてしまった。

「にぎゃあああああああ、おれのハンバーグ!何するんだにゃ、ミミ!許さないにゃっ!!!」

タレミミは情けない悲鳴を上げてミミを凄い形相で睨み付けた。
食いしん坊のケット・シー。ハンバーグの恨みは恐ろしい。
エアルベスさんも流石に食べ物を粗末にしたのは許してはいけないと思ったようで柳眉を吊り上げた。

「――ミミ!何てことをしたのです、あなたは罰として一週間デザートを抜きにします!」

「にゃっ、でもエアルベシュしゃま」

「エアルベスしゃん、待ってちょーらいにゃっ!わたちが悪いからデザートはわたちのを抜いてちょーらいにゃっ!」

慌ててミミを庇う。
私もデリカシーが無かった。

「――ニャンコにゃんかにかばわりぇたくにゃいにゃっ!どりぇだけわたくちをミジメにしゅれば気がしゅむのにゃっ!!!」

「にゃっ、ミミ!」

だが、それすらもミミは気に食わなかったようで走り去ってしまった。
私はしょんぼりとする。悲しくて少しじわりときた。

仲良くなりたいのにどうして裏目に出るのか。
ミミが嫉妬にかられている限り、寂しいけど無理に仲良くしようと思わない方がいいのかもしれない。

真っ白ふわふわなチンチラ猫、好きなのになぁ…あーあ。

そんな事を思いながら午後の作業を過ごしたが…。
ミミはお昼に走り去ってから、作業終了までずっと戻ってこなかった。

心配になってエアルベスさんに聞く。
ミミに関して、私だけでなく以前にもこうしたトラブルはあったらしい。

「お部屋で拗ねているだけでしょう――あの子に関しては係りの者も心得ていますし、夕飯には顔を出しますよ。」

だといいけど…。

作業終了すれば、夕食までの間自由時間だそうだ。
私は一旦戻って着替えると、世界樹の畑へ再び戻る。

外部から入る水を貯めておく大きめの貯水池のところまでやってくると、周囲に人がいないか確認。
早速ウンディーネを呼ぶ。
ドラゴンの所まで連れてってもらうためだ。

"分かりましたわ。確認だけでもしてもらった方がいいですものね。"

「じゃあ、早速――」

お願いします、と続けようとした時。
私は何者かによって背中をドンッと強く押され、貯水池にダバーン!と勢いよく落ちてしまった。


***


ニャンコを貯水池に突き飛ばした彼女は、最初こそ溜飲を下げていたが、時間とともに焦りだした。
何時まで経ってもニャンコが水底に沈んだまま上がってこないからである。

「ど、どうちましょうにゃ…わたくち…わたくち……」

この程度の貯水池は他の子も以前落ちていたけれど、すぐに上がってこれる深さの筈。
筈なのだが――彼女は貯水池を覗き込む。
近くにあった長い棒を拾ってきて、差し入れてみた。

「うしょ、しょんな…こんにゃに深かったにゃんて――!!?」

棒は彼女の背丈以上はあった筈だが、全て飲み込まれてしまっていた。
更に差し入れても、尚深い。
ここにきて、彼女はさーっと青ざめる。

自分は何てことを――殺人を、犯してしまったのだ!

ショックで立ちすくんでいると、誰かの声が聞こえてきた。

「――わ、わたくち、知らにゃいにゃっ!」

彼女は俄かに恐ろしくなって、その場から逃げた。

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